飲食店アルバイトで社会人スキルを磨いてホール主任まで上り詰めた話~バイトデビュー編~

4月になりました!新生活がはじまる季節ですね。たとえば大学生は素敵なキャンパスライフに、サークル活動の青春など充実のかたまりですよね。そして何といっても大学生の新生活に欠かせないのがアルバイトです。

田舎から出てきた大学生がアルバイトを探す話

私は故郷の田舎を離れて一人暮らしをすることになったので、アルバイトを探していました。
目的はお小遣い稼ぎと人生経験を積むことです。

いろんなアルバイトがあるなぁ。
あれもしたいしこれもしたいし迷う。。

そんな時に求人情報誌を見て、ふと気になった1件の飲食店求人がありました。
「時給850円~(昇給あり)、まかない付き、初心者歓迎」
正直、時給は安い方でしたが当時レートなら平均的でした(関西調べ)。

それよりなにより、体育会系で一晩でご飯2合をペロリと食べる大食漢だった私にとって…
「まかない付き」というパワーワードは、ゆるぎない決意をうながす豪華特典でした。

あぁ…ここしかない。。
しかも家から近い美味しそうなお店やん
早速、面接を申し込んでみよう。

そして始まったのです。
超絶キビしい環境で6年間、己を磨く日々が…。

わたしが働いた飲食店の話

私が勤務した飲食店は約80名が収まる規模の関西にある中華料理屋さんでした。
元々は20名規模が収まる小さな町中華としてスタートしたお店でした。
味良し!サービス良し!で大繁盛となり連日、常連さんが長蛇の列を成す活気あるお店でした。

私が面接に訪れたのは80名規模のお店に拡大移転するタイミングでした。
規模が大きくなるのでアルバイトを沢山雇いたかったそうです。
基本的にキッチンは腕のある社員さんのみ。一方でホールスタッフはアルバイトのみ。
私は新規のホールスタッフとして面接を受けることになりました。

うーん。本当はキッチンの方が興味あるけど。。
持前のパッションで接客も悪くないかな??

面接で人生が変わった話

こんにちは!パパリーマンと申します!!

体育会系らしい爽やかであり、腹式呼吸で安定かつキレある挨拶で登場です。
正直…「キマッた」と思わずにいられないほどの清々しい挨拶でした。
こんな好青年に「いらっしゃいませ」なんて言わせたら、お店がもっと繁盛してキッチンがヒーヒー言いますよ??

すると奥から現われたのは大柄マッチョで短髪のチンピ…店長と思われるいかつめの男性。。

うっさいねんドアホ。
これやから学生は嫌いやねん。

す…すみません

まさかの初対面で嫌われました。
圧倒的ビハインドを背負って面接が開始です。
というか、なにこの人、怖い…。人生で関わってはいけない人なのでは…??

ひとまず自己紹介をしつつ、履歴書を手渡します。
もはや住所とか連絡先とか知られたくなかったですが引き返す勇気はありませんでした。

…なんでウチに来ようと思ったん?

きました。どんな面接でも聞かれる「志望動機」という鉄板の質問ですね。
もちろん何の準備もせずに面接に臨んでいるわけではありません。
志望動機くらいは想定内です。但し、この時わたしは用意してきた回答を紐解くか迷っていました。

面接前に、大学で友人に相談していた時に「関西では一笑いくらいとらないとダメだよ」と助言されていました。
その時のわたしの持ちネタがサッカーの本田圭佑選手のモノマネでした。
そこで私が用意していた志望動機は本田口調で…

「僕はね。谷が無いと山を喜べないんですよ。自分の伸びしろをね。それを確認するためにここにきました」

そう。私はこのドチンピ…強面店長の質問に対してこの回答をするか迷ってたのです。
いや、ここまで来たんだ。むしろこれで不採用だったとしても、むしろ解放されるからいいのでは?
そうだそうだ。ここでモノマネをぶっこむことで、友達を笑わせる話のネタを得ることができる。
…よし、いくぞ。心の中のリトルパパリーマンは臨戦態勢です。

おう!どないやねん?なんでウチにきたんや?

地域密着型で多くの人々から愛されているこのお店であれば、
社会貢献をしつつ、素晴らしい経験を積めると思ったからです

もちろんケイスケ・ホンダのモノマネなんてできません。無理です。
そして、良くも悪くも…その場で「採用」が決まりました。

初出勤でボロボロだった話

アルバイトが担うのは調理以外の以下のポジションでした。

  • デシャップ係:厨房とホールの橋渡し役。オーダー読みや、ホールの状況に応じて厨房に指示を送る係。
  • フロント係:予約管理や待っているお客様の管理や案内役。電話応対や会計なども担う係。
  • ドリンク係:アルコールやソフトドリンクなど飲料やデザートの準備役。お冷やおしぼりの準備も行う係。
  • ホール係:お客様から注文を受けたり、料理を提供する役。退席後の片付けなども適宜行う係。
  • 洗い場係:皿や厨房器具などを洗って片づける役。キッチン内にいるため皿出しや食材準備など調理の流れも手伝う係。

どれも難易度が高そう。。どこから経験できるのだろうか

おー。今日から頼むで。
まずは洗い場からやな。

なるほど。そう簡単に接客はさせてもらえませんか。
でも本当はキッチン志望だし、厨房で良い動きをすれば異例の調理役に抜擢なんてことも…?

うちの洗い場はキツイけど、体力あるやろ?いけるな?

もちろんです。むしろ体力しか自慢がありません。
オーケーオーケー。長年サッカーで培った体力とキレをご覧入れましょう。
サッカーでは地域選抜に選ばれ、陸上部からも熱視線を浴びた体力とスピードがあります。

よし、どんどん洗い物を持ってきなさい!!
大物ルーキーがデビューですよ!!!

…30分後。

え…ええ?まだ…まだ30分なの…?
どんだけ洗い物あるの。それ以外にも仕事が多すぎる…

洗い場には業務用食洗器が一台ありましたが、尋常じゃない洗い物の量に圧倒されます。
洗い物だけでなく、洗った食器や厨房器具を拭きあげて元の場所に戻す作業もあります。
加えて料理人たち(計8名)のお茶を補充したり、次の料理の食材や皿を準備することも必要です。

きっつー。思ったよりもきっつーい。
酢豚の皿とかハンパないって。トロみが皿から全然とれへんやん。
ほんで麻婆豆腐とか担々麺の皿とかラー油たっぷりでめっちゃ指にしみるやん。

しかも料理人たちも店長に負けず劣らず気合の入ったヤンキ…体育会系ばかり。
正直、居心地は最悪でした。生きている心地がしない。これで時給850円?嘘だろ。。
体力はまだしも精神的にきつい。わからないことが多すぎるし、仕事が多すぎて優先順位がつかない。

おら!!はよ皿持ってこい!
チンタラしてたら店が回らんやないか!!

外を見ると、長蛇の列が出来上がっています。
ついていくのに必死なのに、これがまだまだ続くのか…?
なかば絶望しかかっていた、その時…

ドーン。ガッシャーン。パリンパリンッ。あらよっと、カラカラン…

泡だらけの手でつかんだお盆をひっくり返して大量の皿やグラスが粉々に…。
終わった。いろんな意味で終わった。生きて帰れないかもしれない。
とりあえず謝って片づけよう。この時もう半泣き状態。走馬灯も流れ始める。

鍋をふりながら、ため息をつく店長。
大量のオーダーを抱えながら、料理を皿に盛りつけて…

おまえ…ちょっと裏こいや

ええ。わかります。これが「最期」ってやつですね。
私が猫ならご主人のもとからそっと去るでしょう。
そして店長の後について、店の裏庭に連れていかれます…。

店長からもらった言葉の話

私は覚悟を決めていました。
ここで鉄拳制裁を受けようとも、割った皿たちの弁償を迫られようとも仕方ないと…。
すべては自分が招いたことであり、失敗であることは事実なのだから。。

いや!でもやっぱり怖い!今日がデビューですよ!?
デビュー戦で退場しちゃうスポーツ選手とかもいるじゃないですか!
それでも次があるのがニッポンの魅力じゃないんですか!?

いよいよ皿を割ったことの言い訳とかが頭をめぐっている内に裏庭に着きました。
予想はしていましたが、誰もいません。
ここでなにがあっても誰も知らぬ存ぜぬ。記録にも残りません。
すると店長がポケットから缶コーヒーを取り出して…

まあ飲めや。疲れたやろ

は…はい。ありがとうございます…??

なにかの罠なのでしょうか。もしかしてボッタクリ戦法でしょうか?
これを飲んだら最後で数十万円請求されるとか、眠らされて気づけば漁船に乗ってたりするのでしょうか…。
おそるおそる飲みますが、もちろん普通のブラックコーヒーでした。

怒られると思ったか?
初日や。何もないほうが珍しいわ

え…まさか、怒って…ない?もしかして試されてる?
というかあきらめられてる?もはや怒られない方が辛い状態。
いっそのことガツンと怒られた方がスッキリするかも…。なんだこの感情は。。

うちはな。「大胆かつ繊細」がモットーやねん。
「挑戦」と読み替えてもええわ。
せやから怖がって挑戦しないやつはいらん。
挑戦した仕事で失敗してもええから小さくなるな。

め、めっちゃカッコええやん…。なんなんこの人。
予想と180度違う展開に度肝を抜かれる。
もはや洗脳術か?とか疑ってしまうけど、素直に心に響いた。。

真意を聞いてみると「大胆かつ繊細」というモットーは本当らしい。
大胆:チャレンジする勇気。困難に直面しても、仕事を思い切ってを行うことができること
繊細:試行錯誤する丁寧さ。感情や感覚をこまやかに周囲に気を配り続けること

店長…心に響きました。。
なんだか…すごく頑張れそうです(時給安いけど)

わかったら、はよ持ち場に戻らんかい。
仕事はまだアホほどあんねん。

口は悪いけど、なんだか温かみがある店長の様でした。
男としての憧れすらも感じさせるカリスマ性も兼ね備えているのではないか…?

そのあと、どうにかこうにかバイト初日を乗り切りました。
ヘットヘトでしたが、不思議と心には充実感がありました。
そして…豪華絢爛なまかないに完全に胃袋を掴まれました。

うっまあああああ!!!!!!
もはやチャーハンでご飯が進むクオリティ!!!!

こうして慌ただしく始まったわたしのバイトデビュー。
これから少しずつ経験をかさねて大人の階段を上っていくのでした。

続く。

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